贈与の適正額とは?
前回まで基本的な贈与による相続税対策を見てきましたが、これまでのは基本的に贈与税を支払わずに相続税の節税を行うものです。
しかし、遺産総額が多い場合は、基礎控除枠110万円を超える贈与を行ったほうが税金面で有利なケースがあります。
ここでは、一例を用いてもっとも節税となる贈与額のシミュレーションをしてみます。
なお、平成27年1月1日から贈与税と相続税の改正が行われます。
今回は長期に及ぶ相続対策の性格上、改正後の税率に基づいてシミュレーションを行いたいと思います。
・夫、妻、子供が二人
・夫の資産(相続税課税価格)が5億円で、10年後に亡くなるという想定
・10年間で夫から子供へ資産を贈与することで、相続税の負担を減らそうとする場合、最も税負担が少なくなる贈与額はいくらなのか?
贈与適正額シミュレーション (万円未満切り捨て) |
相続税課税価格 (遺産) |
相続税の総額 | 贈与税の総額 | 税負担の合計 |
生前贈与をしなかった場合 | 5億円 | 6,555万円 | 6,555万円 | |
子供二人に毎年110万円づつ 贈与をする場合 |
4億8460万円 | 6,227万円 | 0円 | 6,227万円 |
子供二人に毎年310万円づつ 贈与をする場合 |
4億5660万円 | 5,632万円 | 280万円 | 5,912万円 |
子供二人に毎年510万円づつ 贈与をする場合 |
4億2860万円 | 5,110万円 | 700万円 | 5,810万円 |
子供二人に毎年710万円づつ 贈与をする場合 |
4億60万円 | 4,620万円 | 1,260万円 | 5,880万円 |
※相続開始前三年以内の贈与は無効として計算に含まれていません。
※遺産分割は法定相続分に従って行われると仮定しています。
いかかでしょうか
上のケースでは、一人に対して毎年510万円づつ贈与を行うことが最も税負担が少なくなることが分かります。
ただし、不動産の持分を贈与する場合は登記費用等が発生しますので、そのような場合は必要経費も計算に入れなければなりません。
また、税負担額が低いからと言ってその額が一番正しいわけではありません。将来のことを家族とじっくり話し合って頂き、その上で決めた金額が本当の適正額と言えます。
いずれにせよ、贈与による相続対策は贈与が有効であることが前提ですので実行される場合は税理士等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。
最も税負担が軽くなる贈与額をエクセルでシミュレーション
上記のようなシミュレーションは以下に公開するエクセルで行うことができます。
相続税がだいたいどのくらいなのか把握したい場合や、いくら贈与するのが最も税負担が少なくなるのか把握したい場合に使用してください。
※計算結果は概算のため、あくまで目安としてご理解ください。計算結果を利用することにより生じた損失に関し一切責任を負いかねますのでご留意ください。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
次回もよろしければご覧ください。