プロスポーツ選手にかかる税金ってどうなってるの?

 プロスポーツ選手といえば多額の税金がかかるイメージがあります。半分以上もっていかれるとか、税金が高すぎて払えないなんて話もありますが、今回はそのプロスポーツ選手の税金の基本的な仕組みを見ていきたいと思います。

プロスポーツ選手は個人事業主

 

 まず、プロスポーツ選手は個人事業主です。そのため、その収入は会社員のような給与所得ではなく事業所得にあたりますので自ら確定申告する必要があります。
 大相撲のように力士に給与が支払われるケースもありますが、力士がもらう賞金や懸賞金などは給与所得に当たらないため、それらを貰った場合は力士といえども基本的に確定申告しなければなりません。

 

プロスポーツ選手が支払う税金

 

 プロスポーツ選手は個人事業主なので、基本的に一般の個人事業主と同じように税金を支払います。
 税金は収入に応じて、所得税住民税、さらに収入(課税売上高)が1000万円以上の場合は消費税も支払う必要があります。
「消費税も支払うの?」とびっくりされる方もいますが、個人事業主である以上支払い義務があります。そのため契約金や賞金が税込なのか税抜なのかは当事者にとって気になるところです。たとえば契約金1億円がもし税込だとしたら本当の契約金額は92,592,593円となり8%の消費税7,407,407円は支払った消費税と差し引いて納税する義務があります。

 

プロスポーツ選手が支払わなくていい税金

 

 プロスポーツ選手は個人事業主ですが、一般の個人事業主とは異なりその収入は個人事業税の対象とはなりません。
 個人事業税は東京都の場合を例に取ると、法律で定められた第1種事業から第3種事業までが詳細に記載され、その法定業種に当てはまれば個人事業税の対象となる仕組みです。しかし、スポーツや芸術などの分野は法定業種に当てはまらないため個人事業税の対象ではないというわけです。
 非課税の理由は政策上の観点とされていますが、スポーツや芸術は他の業種より収入が不安定なことが考慮されているのか、あるいは文化振興のためでしょうか。いずれにしろ、個人事業税に関しては都道府県ごとに解釈の違いがあるため、(都道府)県税事務所から事業内容の問い合わせがきた時に自分の事業が法定業種ではないことを説明できるようにしておいた方が良いでしょう。

 

具体的な税金のシミュレーション

 

 プロスポーツ選手の契約金額、賞金、付随するコマーシャル出演料などはすべて事業収入にあたります。ここから必要経費を差し引きますが、必要経費として認められるのは以下のようなものです。

競技用品代、トレーニング費用、専属トレーナーに支払う給与、マネジメント会社に支払うマネジメント料、交通費、携帯電話にかかる料金、事業関係者との会食費、事務所の家賃、自動車の減価償却費(私用分を除く)、固定資産税、自動車税、その他事業に関係すると考えられる費用。

 

では具体的な税額を見ていきましょう。

2500万円の事業収入から500万円の必要経費を引いて事業所得が2000万円となった場合
所得税 505万円
住民税 197万円
復興特別所得税 10万円
消費税(8%簡易課税) 94万円
合計※ 806万円

※税額は個人の事情により異なります。また計算を単純化していますのでおおまかな目安として捉えてください。

 いかがでしょうか。ここで挙げたのは一流のプロスポーツ選手の例ですが、事業税がないとはいえ、2000万円の所得のうちかなりの割合が税金となってます。さらに高額な所得の選手となるとまさに半分近くが税金となります。

スポーツ選手は現役の期間が長くないことやケガなどの不安も考えると節税や貯蓄で資金を蓄積し、引退後の長い人生に備えることが必要になってくるでしょう。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。
次回もよろしければご覧ください。

 
知って得する税の話

 

 

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